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塩化アルミニウムベンザルコニウム液の副作用

その汗のお悩みお薬という選択肢もありますよ?

当店では塩化アルミニウムベンザルコニウム液という医薬品を作っています。

どんな薬かについては記事の1番下にリンクを張っておきます。

ここでは、塩化アルミニウムベンザルコニウム液を使用されている方に対して副作用と対策を紹介します。

まず、添付文書を引用します。

2.使用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性があるので、直ちに使用を中止し、この文書を持って医師又は薬剤師に相談してください

関係部位症    状
皮膚発疹・発赤、かゆみ、黒ずみ、色抜け(白斑等)、高体温症、無汗症

発疹・発赤、かゆみが塩化アルミニウムベンザルコニウム液のメインの副作用になります。

やはり、塩化アルミニウムベンザルコニウム液は外用薬なので、主な副作用は使用部位で起こる副作用です。その他の部位の副作用は起こらないと思って頂いて大丈夫です。安心のために、使用部位以外の部位の副作用に関しても説明します。

皮膚への副作用

塩化アルミニウムベンザルコニウム液には皮膚に対する副作用があります。主に塩化アルミニウムによる副作用です。症状としては、乾燥したり、かゆみや刺激感があったりします。また、その症状の程度には個人差があります。

アレルギー反応もあります。発疹や発赤といった症状です。

乾燥

期待する程度や期待するタイミングではないときに汗が出なくなる副作用です。当然と言えば当然の副作用です。

塩化アルミニウムが過剰に作用しているかもしれないと考えられる場合は、隔日、2〜3日に1回、数日おきといったふうに使用頻度を減らしましょう。塩化アルミニウム濃度の低い医薬部外品の制汗剤へ変更するのも選択肢としてあり得ます。

塩化アルミニウムベンザルコニウム液を薄めて使うのはあまりお勧めしません。市販の精製水には雑菌が入っています。薬に雑菌が混入します。そもそも濃度を薄めた塩化アルミニウムベンザルコニウム液は医薬部外品の制汗剤のようなものです。となると医薬部外品の制汗剤の方が品質が良いに決まっています。

また、適宜、保湿クリームを使うのも良いかもしれません。

刺激感

ピリピリとした刺激感がある場合もあります。対応は乾燥と同じように、使用頻度を減らすか医薬部外品の制汗剤への変更が良いと思います。また、使用頻度の使用とともに弱まるということもあるので、程度が弱ければしばらく使ってみて判断しても良いでしょう。

発疹や発赤

アルミニウムに対するアレルギー反応を引き起こす方もいらっしゃいます。特徴は市販の制汗剤でも起こることです。市販の制汗剤を使っても同じ症状がある場合はアレルギーが疑われます。また、焼ミョウバンは硫酸アルミニウムカリウムなので、ミョウバンが成分の制汗剤でも起こりうるでしょう。
まず、使用を中断しましょう。軽度の悩みであれば代替の候補となる商品量が多いドラッグストア、重度の悩みであれば最寄りの医療機関に相談することをお勧めします。

黒ずみ

腋に使用した場合、過剰使用によって毛穴が詰まって黒くなることがあります。このまま使用を続けると周囲に色素が沈着し、簡単には元の色に戻らなくなります。
あまり極端にカラカラにするのはよくありません。多少汗が出て普通の状態ですので、ほどほどの使用頻度に抑えるのが良いです。
また、お風呂などでしっかり洗い流した方が予防になります。
初期の段階では使用を中断し、洗浄をしっかりすればもとに戻りますので、早期に対処をするようにしてください。

無汗症・高体温症

数年にわたる長期間、肉体労働による発汗を抑えるために、全身に、塩化アルミニウム水溶液を使用したことで無汗症や高体温症を引き起こした例が厚生労働省に報告されています。
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2016/162051/201610106A_upload/201610106A0009.pdf
これは極端な例でほとんど起こりにくいものですが、そうならないように注意は必要です。
まず、肉体労働やスポーツによっておこる汗を無理に止めようとしない。全身、広範囲の部位には使用しない(この報告の結論でも「部位を選び限定するのも良策」と結論付けている)。また、そもそも健康な状態というものは程々発汗するものです。完全に汗が止まっている状態は不健康ですので、標準的な発汗を目標とすることが大事です。

全身性の副作用

塩化アルミニウムベンザルコニウム液を皮膚に塗っても、中枢神経症状や貧血、骨軟化症などの全身性の副作用は考えにくいです。

全身性の副作用が考えにくい理由

一般に、薬が経皮吸収されるには、油にも水にもほどほど溶ける成分でなければいけません。ところが塩化アルミニウムは水には非常に良く溶けますが、油には溶けにくいです。これでは体の中に入ることはできません。毛穴からの吸収については、あまりにも毛穴の面積が小さいため、ほぼ吸収されないと判断しても良いくらいです。

100歩譲って、塩化アルミニウムが体に吸収されたとしても大きな問題になりません。それは塩化アルミニウムが水に溶けやすいからです。

水に溶けやすい薬物は、摂取しても一般に尿と共にすぐに排泄されて、体の中に蓄積されることはありません。尿を排泄させるための腎機能に障害があり、よっぽど大量に摂取しないと問題にはなりません。また、大量に摂取するためには、皮膚からではなく、口から摂取する必要があります。

このようなことから、塩化アルミニウムの塗布による全身性の副作用はあり得ません。

ちなみに、塩化アルミニウム摂取の安全性については日本アルミニウム協会に分かりやすいPDFがあります。

https://www.aluminum.or.jp/aluminum-hc/p_3/files/20171016_02.pdf

妊娠中・授乳中の使用について

妊娠中でも授乳中でも塩化アルミニウムベンザルコニウム液を使っても大丈夫です。

赤ちゃんに副作用が発生するのは、まず妊婦の体内に薬物が吸収されることが前提です。塩化アルミニウムやベンザルコニウム塩化物が皮膚から血液内に吸収されて、かつ体に長期間蓄積されることはありません。したがって、妊娠中や授乳中の問題は起こりようがありません。