姫路市飾磨区のえびす調剤薬局
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塩化アルミニウムベンザルコニウム液の作り方

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ワキガの人や多汗症の人ならよく知っている塩化アルミニウム。
塩化アルミニウムは市販の制汗剤によく入っていますね。
当店では塩化アルミニウムとベンザルコニウム塩化物を使った医薬品を作っています。
私も作り方が大分慣れてきまして、、、
まとめとして、塩化アルミニウムベンザルコニウム液の作り方を紹介します。

また、使っていただいている方には使用上の注意点の参考になるかもしれません。

塩化アルミニウムベンザルコニウム液とは

まず大前提として、この医薬品は殺菌消毒薬です。
この薬の成分は塩化アルミニウムとベンザルコニウム塩化物です。
殺菌消毒は、ベンザルコニウム塩化物による効果効能です。
ワキガや多汗症の話題を出しておいて恐縮ですが、、、
ただ、かなりこの薬は特殊です。

塩化アルミニウムが含まれており、単純な殺菌消毒薬ではありません。
この塩化アルミニウムは皮膚を収れんする作用があります。
収れんとはタンパク質を変性させ組織などを縮める作用のことです。
要は皮膚をキュッとしめる役割があります。
傷などに使う単なる消毒薬に塩化アルミニウムは必要がないですね。
この塩化アルミニウムベンザルコニウム液、どう考えても傷薬とかではないです。
傷口に塗るとおそらく傷が悪化します。
実際、「塩化アルミニウムベンザルコニウム液を傷口に塗ったらいけないよ」と添付文書にも書かれています。

収れんと消毒が必要な病気…
薬局製剤業務指針の第二部解説編に答えが書いています。

アルミニウムイオンは収れん作用を有する。これに殺菌消毒剤のベンザルコニウム塩化物を配合したもので、腋臭に用いられる。

そうワキガです。

ワキガの臭いの原因はなんでしょうか。
簡単に言うと
1.タンパク質や脂質を含んだ汗が脇から出る
2.タンパク質や脂質を皮膚の常在菌が臭いの原因物質を作る
というステップで起こります。

この薬は名前の通り、塩化アルミニウムとベンザルコニウム塩化物という2つの成分を含有しています。
塩化アルミニウムは皮膚を収れんさせる効果があり、ベンザルコニウム塩化物は皮膚の常在菌を殺菌する効果があります。
1.と2.両方のステップを阻害することでその効果を発揮します。

塩化アルミニウムベンザルコニウム液の主成分は市販の制汗剤と同じですが、その成分の濃度が違います。
市販の制汗剤に含まれる塩化アルミニウム濃度は10%前後です。
これに対して塩化アルミニウムベンザルコニウム液の塩化アルミニウム濃度は20%です。

塩化アルミニウムベンザルコニウム液の材料

材料はこちら(100mLあたり)

  • 別紙規格 塩化アルミニウム(Ⅲ)六水和物 20.0 g
  • 日本薬局方 ベンザルコニウム塩化物 0.02 g
  • 日本薬局方 精製水又は精製水(容器入り)  適量

ベンザルコニウム塩化物は濃厚なベンザルコニウム塩化物液を使用することが出来る
塩化アルミニウムベンザルコニウム液の材料

塩化アルミニウムベンザルコニウム液の作り方

簡単にまとめると全部混ぜるだけです。
しかし、注意点が多いのでそれに従って説明します。
塩化アルミニウムベンザルコニウム液を作るのは意外と難しいです(汗)。

準備

まず、手を洗ってエタノール消毒をします。
これは「薬を作るから」という抽象的な理由ではありません。
そうしないとマズいと思うからです。
理由は下手な作り方をすると細菌汚染が起こる可能性があるということです。
その原因はベンザルコニウム塩化物にあります。
ベンザルコニウム塩化物の細菌汚染の話題は病院の詰め所とかで有名ですね。
塩化アルミニウムベンザルコニウム液の最も重要なポイントは、細菌汚染が起こらないように作って、保管しなければならないことです。
そういったこともあって、手に雑菌があると良くないんです。
勿論、直前に器具もしっかり洗ってから作ります。
マスクもします。
もしかしたら高濃度の塩化アルミニウムのおかげでそんなにデリケートにする必要がないかもしれませんが、正確なところは検査をしないと分かりません。

作成手順

まず、塩化アルミニウム六水和物をビーカーに入れます。
塩化アルミニウムをビーカーに入れる
ちょっと左手がきわどいですね。
手で容器や器具の内側などには手で触れないようにしましょう。

次はベンザルコニウム塩化物です。
濃厚な希釈液を使います。
ベンザルコニウム塩化物をメスピペットで入れる

あとは滅菌精製水を入れるだけです。

薬局製剤指針には使うのは「精製水」と書いていますが「滅菌精製水」です。
上記の細菌汚染が理由です。
精製水には細菌がかなりいます。
細菌数で言えば水道水の方がマシです。
せっかく清潔に作っているのに材料に細菌がいたら元も子もありませんね。
だから「滅菌精製水」でなければならないのです。
滅菌精製水をビーカーに入れる

ここでは中学校の理科の授業で出てきた知識が大事になります。
画像ではビーカーでメスアップしています。
普通はダメですね。これでは。
ビーカーの目盛はそんなに正確ではないからです。
「ダメじゃん」と思った人、よく見てください。
黒い線が入っていませんか?
目盛の正確なメスシリンダーで必死に量って1Lのところにマジックで線を入れました。
大きなメスフラスコやメスシリンダーは高いんです…
セコイ話で恐縮です。

ベンザルコニウム液は泡立ちます。
その時の目盛は泡のない高さです。
ここですね。

メスアップの目盛りはここ
これも中学校で習うことですね。

 

ゴミが入らないようにアルミホイルをのせてスターラーで混ぜる。
塩化アルミニウムベンザルコニウム液を攪拌

完全に混ざらなくてもいいので、とにかく手早く遮光瓶に入れる。
ダラダラしない。

塩化アルミニウムは水によく溶けるので、即座に使わない限りアバウトで大丈夫です。
塩化アルミニウムベンザルコニウム液の完成

塩化アルミニウムベンザルコニウム液の完成です。
販売容器に入れたものがこちら。

塩化アルミニウムベンザルコニウム液のパッケージ

最後に製造記録を書いて、ちゃんと作れているか検査センターに依頼します。
人が作る以上、製造ミスもあり得ますからね。

掃除は大事

最後に、ちゃんと器具や周囲は掃除します。
掃除を忘れてしばらく放置すると、塩化アルミニウムベンザルコニウム液によって金属が錆びます。
また、塩化アルミニウムには潮解性があるので、水を含んで除去しにくくなります。

塩化アルミニウムベンザルコニウム液は特殊な薬

塩化アルミニウムベンザルコニウム液には本当に興味深いことがたくさんあります。
最初に紹介した材料の塩化アルミニウムをもう一度見てみましょう。
「別紙規格 塩化アルミニウム」と書いています。
「日本薬局方 塩化アルミニウム」ではないのです。
別紙規格とはどんな規格でしょうか。
薬局製剤指針にこう書いています。

本品は、定量するとき、塩化アルミニウム(Ⅲ)六水和物(ALCL3)97%以上を含む。

つまり、純度97%の条件を満たしていればどんな塩化アルミニウム(Ⅲ)六水和物でも良いということです。
手に入りやすいのは「試薬」の塩化アルミニウム(Ⅲ)六水和物です。
試薬には特級や1級といった規格がありますが、97%以上であればどちらでも構いません。
価格差がそんなにないので当店は特級を使って作っています。
残りの3%未満が気になりますし。

「軽く試薬を材料に」と言いましたがこれはすごいことです。
試薬は「実験・研究・分析用」の商品です。
つまり、普通は試薬を水に溶かして薬まがいのものを作っちゃいけないんです。
でも薬局製剤指針は、薬まがいどころか塩化アルミニウムベンザルコニウム液という薬を作ることを認めているんです。
これは批判ではありません。
本当に興味深いことです。

また、広告上も特殊なことがあります。
「塩化アルミニウムベンザルコニウム液はワキガや多汗症に効果がある」と書いてはいけないことです。
理由は、塩化アルミニウムベンザルコニウム液に認められた効果効能は「皮膚の殺菌消毒」だからです。
「いや、さっき薬局製剤業務指針で腋臭って引用してたじゃないか」と言われそうですが、「腋臭に用いられる」と書いているだけです。
「腋臭に効く」なんてことは一切書いていません。

なぜ、「塩化アルミニウムベンザルコニウム液がワキガや多汗症に効果がある」と書けないのか?
それはおそらく、塩化アルミニウムベンザルコニウム液の適応が「皮膚の殺菌消毒」であって、「ワキガ」や「局所多汗症」とは書けないのは、塩化アルミニウムが試薬であるからでしょう。
医薬品ではないはずの塩化アルミニウムの効果を認めてしまえば問題ですからね。

蛇足ですが、このページでも塩化アルミニウムの効果効能は書いていません。
あくまで「作用」を書いています。

「作用」と「効果効能」は専門用語として違います。
「作用」はその物質が人体に対して与える影響で、「効果効能」はその影響による結果です。
高血圧の薬で言えば、カルシウム拮抗剤という種類の薬がありますが、血管を拡張させる作用があり、その結果、血圧が下がります。

作用までは書いていいんです。

現実、薬剤師会発行の薬局製剤業務指針の第三部である塩化アルミニウムベンザルコニウム液の添付文書テンプレートの塩化アルミニウムの作用について「皮膚を収れんする」と書いています。

結局のところこの薬を説明するときは
皮膚を収れんしますが、ワキガとか多汗症には、ゴニョゴニョ…
何か分からないですけど、ワキガの方は皆さん使っていてご満足いただいていますよ…
収れん作用がある塩化アルミニウムが入っています。あとは分かりますよね…

なんか後ろ暗いですね。

でもまあ、薬局製剤は厚生労働省に承認されて、薬剤師会がやっている表現の範囲で、万が一があれば副作用救済制度の対象になります。
塩化アルミニウムベンザルコニウム液はちゃんとした医薬品です。

このページの目的

最後に念のため、このページの目的を書かせてください。

ここで作り方を紹介したのは、当店の商品の透明性をアピールしたかったためです。
はっきり言って、この塩化アルミニウムベンザルコニウム液を含めて薬局製造販売医薬品は隙間だらけで違法な成分を混入してごまかすことは出来ます。
現にそんなニュースも昔ありました。
https://www.yakuji.co.jp/entry23990.html

当店はそんなことを絶対にしておりません。
というよりも普通の薬局はこんな事しません。
しかし、残念ながら物証をもって完全に証明することは出来ません。
当店としては少しでも情報を開示して、当店の塩化アルミニウムベンザルコニウム液を不安なく使ってほしいのです。
ちゃんと作っているか不安を抱かせないことは販売者としての最低限のマナーです。
まあ、もちろん、広告が目的であることもあります。
それは認めます。

塩化アルミニウム水溶液を自作するための参考にこのページを見た人がいましたら、作っちゃダメですよ。
このページは皆さんに作ってもらうためではありません。
試薬を使って医薬品まがいのものを作るなんてありえないことです。
当店も薬局製造販売業の許可など必要な手続きを踏んで、薬局製造指針にしたがって作って、ちゃんと出来ているか外部の検査センターに試験を依頼して、合格してから販売しています。
だから、万が一の時に副作用救済制度も使えます。
適切な手順を追っているかどうかに大きな違いがあります。

こんな感じで塩化アルミニウムの薬を作っています。
使っている方には結構デリケートな薬だと知っていただければ幸いです。
特に液の出る先端には直接触らないようにしましょう。
冷蔵庫など温度が低い方が雑菌が繁殖しにくいので良いです。
塩化アルミニウムベンザルコニウム液を使ってみたい方はこちら↓の画像をクリックして下さい。

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